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12月2週号 「つくる」楽しさに夢中
2015-12-01

■自家製ひょうたん多品種を加工 北田 和利さん・長洲町

 
 【玉名支局】「今年は8月の台風で、いいヒョウタンがほとんど取れなかったので、品評会には出品できませんでした」と話す、長洲町の北田和利(きただかずとし)さん(73)。水稲81アール・野菜24アールを栽培しながらヒョウタンの栽培・加工に力を入れる。
 1アールほどの畑に棚を作り、大瓢(だいひょう)・長瓢(ながひょう)・千成(せんなり)・百成(ひゃくなり)・一寸豆瓢(いっすんまめひょう)など大きさや形の異なるヒョウタンを栽培。「防除さえ気を付ければ栽培は簡単ですよ。大きいものだと長さが1メートル以上・重さは30キロになるので、網に入れてつるしたり、下に支柱を立てたりしないと落ちてしまいます」。毎年200個ほどのヒョウタンができるため、水稲の収穫時期と重ならないよう、9月中旬に収穫し、冬場に加工する。
 「お土産で売られていた木製玩具の雉子(きじ)車やヒョウタン加工品を見て、手先が器用な自分にもできるのではないかと思い作り始めました」と北田さん。当初は土産品を参考に、独学で雉子車とヒョウタンを作っていたが、一つ一つ大きさや形の異なるヒョウタンを加工することに魅力を感じ、現在ではヒョウタン作りに専念している。
 また、年に1度開催される肥後瓢箪(ひょうたん)愛好会の勉強会に参加。他会員からさまざまなアイデアを得て、加工の技術を磨いている。当初はヒョウタンに模様や絵を描いていたが、今ではヒョウタン同士をつなぎ合わせて鳥などの生き物も手掛ける。「昨年からは、ゆるキャラも作り始めました」と北田さん。
 「品評会で表彰されることはあっても、努力賞やアイデア賞ばかりで金賞は取れません。金賞は取れなくても、ヒョウタンは毎年大きさ・形・個数が異なり一つとして同じものがなく、それらに工夫を凝らし、加工するのが楽しいですね」と笑顔を見せる。
 
12月2週号 農事組合法人 庄の夢(山鹿市)
2015-12-01

■「うまい米」は土作りから

  
【鹿本支局】土作りに力を入れ、主食用米(庄の夢、品種「森のくまさん」)を中心に経営している農事組合法人「庄の夢(山鹿市鹿本町庄地区、野中隆弘(のなかたかひろ)代表理事=72歳)」。農作業は全て共同で行い、土作りを徹底し、良食味米の生産に力を入れる。
 山鹿市鹿本町庄区の農家29戸が2013年10月、「庄の夢」を発足した。庄地区は山鹿市の東部に位置する平地で、河川の整備もされている。そのため、集中豪雨による冠水や日照りによる水不足の心配もなく、鹿本町きっての米の生産地となっている。 
  

■組合化と農地集積 地権者の9割が「必要」

 
 しかし、庄地区の水稲の多くは、現在も地区外の農家が作付けている。「後継者不足や農家の高齢化を考えると、このままではいけないと思いました。法人化を考える時期でしたね」と野中代表理事は振り返る。庄地区では、地権者80人に今後の農業形態についてアンケートを実施。90%を超える人が「今後の営農の維持と発展のために、営農組合化と農地の集積が必要」と回答した。
 アンケートの結果を受け、庄地区では何度も組合員同士で検討協議を実施。県が進める農地集積事業の平成24年度重点地区にも指定され、法人化への一歩を踏み出した。
 法人化の前段階として、13年5月に組合員28人で「庄営農組合」を設立。法人化に向けた協議や研修を重ね、同年10月に庄の夢設立となった。
 庄の夢は現在、組合員36人で主食用米を中心に、野菜やイチゴ、キクなど40ヘクタールを作付けて入る。「庄は昔から米作りで栄えた地区です。この地で育てる米は、おいしい。自信もあります。そのため主食用米中心の作付けをしています」と野中代表理事は自信を見せる。
 

■緑肥にクリムソンクローバー


 栽培では、特に土作りに力を入れている。1.カルシウムやミネラルが豊富に含まれる化石サンゴ粉末を10アール当たり100キロ散布2.クリムソンクローバーを田植え前の圃場に育て、満開になると緑肥としてすき込む。クリムソンクローバーには、大気中のチッ素を根に取り込む力があるとされる。
 クリムソンクローバーが満開になる4月下旬には、地域住民との交流イベント「春の花祭り」を開催。庄の夢で栽培した作物や地域の特産物の試食販売会も実施している。
 農作業は全て共同作業とし、農業機械は個人所有のものを使用。壊れても個人で購入せず、今後は法人で購入することも検討しているという。
 今後について野中代表理事は「法人が発足して約3年になりますが、近年の米価低迷により経営も難しくなってきています。引き続き、良食味米の栽培と付加価値の高い新たな加工品開発・販売に取り組んでいく必要がありますね」と話してくれた。 (渡辺義勝・栗原義之)
 
11月4週号 デコポン、温州ミカンなど 弾力性高い土作りに力
2015-11-01
 【天草支局】
「今年の加温デコポンの出来は、玉太りがよく、糖度も高く順調な仕上がりです。収穫量も昨年より多い6トンを見込んでいます」と話す、天草市有明町の光崎修一さん(59)。大学卒業後、親の後を継ぎ、就農して37年目を迎えた。
 
 現在は加温デコポン、屋根掛けデコポン、露地デコポン、温州ミカン(「興津」)、「清見」、「河内晩柑<ばんかん>」、水稲を妻の友子さんと共に栽培している。
 「加温デコポンを始めた当初は失敗も経験しました。施設内の電源ブレーカーが落ちているのに気付かず、換気扇が回らなかったためデコポンの樹を焦がしてしまい、改植しなければならないこともありましたね」と当時を振り返る。
 
 光崎さんは、根の保護を考えて除草剤は一切使わず、草刈り機で刈り取りする。「土を踏んだ時に、土踏まずに土の感覚がわかるような弾力性のある土壌作りにこだわっています。また、果樹指導員の教えをよく聞いてマニュアル通りに栽培しています」。加温デコポンの収穫を皮切りに、12月から他品種の収穫も始まる。「旬のものを旬の時期に、消費者には安心して食べてもらいたいです」
 
産地維持へ団地化も視野に
 
 JA果樹部会長、交通安全協会支部長、共済部長など多様な役員もこなす光崎さん。「たまに時間を見つけては、趣味の釣り(イカ・タコ)に行くのが楽しみ」と笑顔を見せる。
 今後について「後継者不足で生産者が毎年減っています。団地化して気の合う仲間同士で共同作業をしながら果樹栽培をやってみたい」と話してくれた。
(前方裕一、髙尾公宏)
 
11月2週号 オリーブ産地化を目指して 基盤づくりに全力
2015-11-01
 【玉名支局】
 荒尾市役所農林水産課を退職し、現在「荒尾市オリーブ研究会」(会員50人)で活動する上園満雄さん(65)。市役所勤務時代に市内でオリーブ栽培を推進したのがきっかけで、退職後すぐこの研究会の発足に携わった。同会は1.耕作放棄地の開墾2.オリーブ栽培の普及3.オリーブ生産者の所得向上――を目的としている。
 
加工・販売まで一貫体制へ
  
 オリーブ栽培のメリットは、1.遊休地や耕作放棄地の利用2.他の作物栽培に比べ軽労働3.生産から加工・販売まで地域に密着した業務ができる――という点だ。同会会員の平均年齢は60歳。上園さんは「みんなもう退職後の60過ぎだし、オリーブ栽培は僕たちに適している」と話す。
 苗は本場イタリアから輸入し、現在約10ヘクタールの園地に6千本を植え、5千本の苗を育てている。
 
 指導者招き技術研さん
 
 挿し木や剪定<せんてい>の仕方などは、九州オリーブ普及協会から技術指導を受けている。荒尾市の圃場に指導員を招き、栽培方法や成分の説明、剪定の仕方などを教わる。前回は本場イタリアから剪定師を招き、指導を受けた。
 
収穫体験に他県の若手も参加

 同会では「オリーブ収穫体験」も実施。オリーブは育苗に1~3年、定植して実がなるまでに早くて3~5年かかる。そのため、九州各地から栽培1年目などの若手栽培者が「事前に収穫体験をしたい」と積極的に参加している。
 会員の一人、境明彦さんの境オリーブ園で10月15日に行われた収穫体験に参加した、福岡県宗像市の渡辺さん(女性)は、「ロレンツォのオイル/命の詩」という映画が栽培するきっかけになったという。多品種を計17本栽培。オリーブの実のかわいさにほれぼれする渡辺さんだが、昨年は実のなる方の枝を剪定してしまったと苦笑い。「赤っぽいオリーブの実が宝石みたいで本当に綺麗なんです。初めてこんなに実がなっているのを見ることができて感動です」と話してくれた。
 また、福岡県福津市から参加した岡崎さん(男性)は、健康のため、オリーブ油を15年ほど前から摂取しているという。自分でも栽培してみたいとの思いから昨年定植し、約140本を栽培している。
 10月23日には、生産者でつくる荒尾市オリーブ生産者組合の加工販売部門として「一般社団法人 九州荒尾オリーブ村」が発足した。
 今後について「規模拡大でまずは5万本のオリーブを栽培し、荒尾市を産地にしたい」と上園さん。また、「本年度中に空き家となった古家を改装し、加工・販売できる直売所をオープンさせ、6次産業まで取り組んでいきたい。僕たちが基盤づくりをし、若い人たちに仕事や場所を残していきたい」と話してくれた。
(濱村浩史・長迫美沙)
 
10月4週号 ナス「ひごむらさき」東京での販促活動を積極的に
2015-10-01
【阿蘇支局】高森町の吉良山友二さん(60)は、妻・美津子さん(55)、三男・晃さん(23)とともに園芸施設でナス「ひごむらさき」を27アールで栽培している。
 
 ひごむらさきは、熊本県農業研究センターが県の伝統野菜「熊本赤なす」を品種改良してできた。あくが少なく、生で食べるとリンゴのような甘味がある。ひごむらさきの作付けは2003年に高森町で進められ、JA阿蘇南部ナス部会が発足した。高森町では現在、17戸の農家が作付けしている。友二さんは「高冷地のせいか病害は少ないが、防除をきちんとしなければウドンコ病などの病害が発生する。農薬は最小限しか使用せず、安心して口に入れられるように心掛けている」と話す。
 4月中旬に定植し、6月中旬から11月の霜が降りるまで収穫。地温を保つため、土壌全面をマルチで覆い、接ぎ木した苗を定植している。
 

芽欠きと同時に葉欠き徹底
 
 ナスの色付きには太陽光を浴びることが重要。芽欠き作業と同時に不要な葉を取り除くことで適量の光が当たり、色付きをより良くする。「手入れをちゃんとすれば、その分収益につながるのでやりがいがあります」と友二さん。栽培を始めて10年になるが、価格が安定しているという。
 JA阿蘇南部ナス部会では、7年前から関東や関西への出荷を開始。店頭には1本ずつ袋詰めして並べられる。「ひごむらさきの魅力をより多くの消費者に知ってほしい」と販促活動のため、友二さんは東京の銀座熊本館へ何度か足を運ぶ。今年は10月7、8日に、美津子さんと二人で、銀座熊本館へ。募集して集まった消費者の前で、美津子さんがひごむらさきを使った料理を実演し、振る舞った。
 「ナスと生ハムのサラダ」と「ナスと豚肉の煮浸し」の2品を作り、どちらも調理時間は15分もかからない。「仕事から帰って作ると思うので、時間がかからず、味付けもシンプルにしました」と美津子さん。「ナスがやわらかくておいしい」「ナスをサラダで利用するのは今までにない発想」と好評だった。
 中には「都会では健康志向もありサラダへの関心が高いので、『ナスがサラダでも食べられる』ということを前面にアピールしてはどうか」というアドバイスもあったという。「自分では気づかない視点や、今後ひごむらさきを広めていく上でポイントとなる貴重な意見もたくさん聞くことができてよかったです」と美津子さんは話す。
 
 
消費者とのふれあい重視

 2年前の雪害でハウスに被害を受けた吉良山さん方。その年に晃さんが就農し、復旧とともに面積を拡大した。「毎年天候も違うし、同じようにうまくいくというわけにはいきません。現状を維持しつつ、販促活動で消費者と直接ふれあうことを大事にしながら、家族で協力しあい、ひごむらさきを作っていきたいです」と友二さんは話してくれた。
 
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