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6月号

 

2016年6月号

2016年6月号
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6月2週号 放置竹林解消へ

放置竹林解消へ/山都町竹資源利活用協議会(山都町)

  
■竹粉製造 土壌改良材や飼料に
 
 【上益城支局】「山都町名産の竹を利用し、循環型農業に取り組んでいます」と話すのは、山都町竹資源利活用協議会の川部寛行さん(63)。同町は、県内一の竹林面積(1300ヘクタール)があり、以前はタケノコ生産が盛んだった。しかし、中国産などの安価なタケノコ輸入が進み、国産需要は減少。土地所有者の高齢化も進み、放置竹林が増えている。そこで、同町では竹資源の利活用を目的に、201212月に同協議会を設立。同年度の農林水産省の6次産業化モデル事業として、竹を粉上にした「竹粉」の製造販売をスタートさせた。
 

■根張り良く収量アップ 米は独自ブランドで販売

 
米・野菜の食味が向上
 
 竹粉1グラムには、2億から10億個の乳酸菌が生息している。そのため、土壌に混ぜれば自然に乳酸発酵し、雑菌の繁殖を抑制するとともに、土壌中の菌種を増やし、作物の根張りを良くする。「竹粉を使用している住民からは、『米の登熟、粒張り、食味が良くなり収量増加にもつながっている』という喜びの声を聞きます」と川部さん。竹粉を使用して栽培した米は、「島木かぐや米」として販売している。また、野菜栽培でも甘味が増し、収量増加が認められている。
 
養殖魚の餌にも需要 
 

 最近では、養殖魚の餌に混ぜてペレット状にした製品の注文が増えているという。竹粉入りの餌を食べた魚は、臭みが少なく、餌が下に沈殿しても排泄物を分解する作用があるため「いけす」に最適と好評を得ている。竹粉を含む餌を食べ育った魚は「かぐや鯛」や「かぐや鯖」として商品化されている。

 竹粉の製造に使用する竹は、3年以上のもの。12年の若竹は、水分が多いため竹粉には適さない。粉砕には農林水産省の「緑と水の環境技術革命プロジェクト事業」で開発された「高速竹粉製造機」を使用している。国内に3台しかなく低コストで竹を粉砕でき、従来機械と比べ5倍の生産性を持つ。

 

目標は年間40トン

 
 今後について「うちの営農組合は、20代から40代の組合員が約30人います。この若い世代に負の遺産を残すわけにはいきません。しかし被災した中で、復旧費用を組合員で負担するのは難しい。そのため国や県、市の協力が不可欠です。水田が戻るまでに3年ほどかかると思いますが、みんなで協力し、一日でも早く地震前の状態に戻していきたいです」と話してくれた。

 「合言葉は『チリも積もれば山都なる』です。少しずつですが、山都町の将来を見据え、地域にあるものを利用しながら活性化を図っています」と川部さん。

 今後については、「まずは、多くの方に竹粉の安全性や無農薬栽培に適していることを知っていただきたい。そのためにも、これから商品PRに力を入れ、パッケージなども考えていきたいです。年間40トンの生産を目標に、これからも頑張っていきます」と話してくれた。 (黒田裕一)
 
6月4週号 自分たちの手で地域を守る

自分たちの手で地域を守る/大畑営農生産組合(人吉市)

  
【球磨支局】「地域は自分たちで守らなければならない」と話すのは、大畑営農生産組合の組合長・上野博司さん(64)。同組合は、2004年に設立し、現在組合員数24戸(設立時34戸)で45ヘクタールを作付けしている。同組合のある人吉市大畑麓町は、周りを山に囲まれたすり鉢状の地形で、傾斜の多い中山間地だ。「平地が少ない分、傾斜が多く畦畔などの草刈りも大変です。個人で保全をしながら管理をするのは難しいですね」と話す。 
 

■WCSで耕畜連携

 

水稲14ヘクタール、飼料用米1.5ヘクタール、飼料2ヘクタール、焼酎用米1.5ヘクタール、稲発酵粗飼料(WCS)26ヘクタールの計45ヘクタールを作付けしている。作付けだけでなく収穫後の乾燥などの処理や販売も組合で実施。収穫後、外部に直販することで、「常に有利販売できるよう取り組んでいます」と上野組合長。地元の畜産農家に飼料米を販売し、WCSは耕畜連携の仕組みをつくっている。

また、地域貢献活動として、3年前から地元の大畑小学校の5,6年生を対象とした田植え(もち米)の体験学習に協力している。田植えや収穫の指導をするとともに、栽培過程の水管理などは組合で行う。「少しでも子どもたちが農業に興味を持ってくれるとうれしいですね。せっかく作るならと思い、今年から米ぬかを使用した無農薬栽培にもチャレンジしています」と上野組合長。

 収穫したもち米は、毎年11月に地域住民も参加して小学校で開催される「収穫祭」で餅つきをして食べたり、一部は販売し、毎年人気で、一番に完売している。
 
■他地区住民でも組合員に
 
 同組合は、他地区住民でも大畑麓地区の圃場を管理すれば組合員となれる。組合員になれば、組合に委託する作業を通常の半額以下で受けられるというメリットがある。上野組合長は「高齢化が進む中で、組合内の圃場を管理する人がいなくなるのではと危機感を持っています。地域の枠を広げ、受け皿を作っていく必要があります。そのためにも今年11月に組合を法人化する予定です」と話す。
 
■将来見据え法人化へ
 

 組合では、毎月15日に法人化に向けた定例会を開催している。法人化した場合、以下の3種類を考えている。基本的に一度全て、圃場を組合に預ける契約をする。その後、①全て個人へ管理を委託②できることは個人で行うが、できないことは組合で行う③全て組合に管理を任せる――。「組合で全ての管理はできませんが、個人で管理できる部分は個人で頑張ってもらい収入を上げてほしいと思います。高齢化が進み、①から②、②から③が多くならないような取り組みが必要となります。」

 今後について「現在、20代から30代の後継者はいません。働ける人が少なくなっていくからこそ、法人化して人を雇いながら地域を守っていきます。また、今は販売していませんが大畑麓町で取れた米を使い焼酎『畑の里』やみそ、梅干しなどの特産品を地元で作れるよう加工場づくりも視野に入れています。地域のこれからを考えながら、頑張っていきます」と話してくれた。

  (田山雄己・濱田紗矢香)
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